母が残したもの

 亡くなった母は、2~3年前に筒状に編める編み機(あんでミルミル)に夢中になっていた時期があります。

高齢になり、以前より思うように動けなくなったので、「ただ毎日、ボーッとしているとボケそうだ」と言う、母にチャレンジをすすめました。糸掛けは私の役目で、母はただ編むだけ。昔子供の頃にやったリリアン編みの大型版。糸をかけていくだけの簡単な仕組みなので、テレビを見ながら夢中で編んでいました。

 私は仕事をしていたので、週1回出向くのがやっとでしたが、毎回新しい毛糸をもっていきました。あまりにも編むスピードが速いので、もっぱら100円ショップの毛糸でした。

 少し、上手になってくると、「何を作るのか分かって編みたい」と言い出しました。マフラーに、レッグウォーマー、帽子、エコたわしなどたくさんつくりました。たくさんできたエコたわしは、義姉が参加するフリマに出しました。

 最近は、編み物はご無沙汰になっていました。遺品の中にまだ残っているものがあり、私が少し手を加えて、エコたわし、襟巻、帽子などにしました。

49日法要で孫、ひ孫に好きなものを選んでもらい、エコたわしは、手紙を添えて、お世話になった方へ渡しました。

 うちの孫の二人は、帽子とハンドウォーマーをもらいました。嬉しそうに笑い、早速身に着ける子供たちの笑顔に、母はとても幸せ者だなぁと感じました。

 帰ってから、孫のリクエストに応えて可愛い毛糸で少しおめかししてやりました。

 誰かを笑顔にするために、編んでいた母の思いに報いることができたでしょうか?

 

 

 

2017年11月11日